「1on1なんてなくなればいいのに」
上司も部下もそう願っていると時々お聞きします。
どうしてそう思うのかをお聞きすると、
「地獄のような時間なんです。」と仰った方がいました。
「地獄・・・ですか。」
「話が盛り上がらず沈黙が流れて、ひたすら終わる時間になるのを待っている・・・本当に地獄です。」
そのまま質問せずに待ちました。
長い長い沈黙の後、
「私だって本当は1on1なんてやりたくないんです。」
「だって普段から関わりを持っていない人に、何を話したらいいかわからないんです。頑張って質問しても、『はい』とか『大丈夫です』とかで、また沈黙になって本当になんのための1on1なんでしょうかね。」
ここでも私は質問をしません。
そして、また長い長い沈黙が流れます。
「私が怖いんでしょうね。相手のせいにした方が楽だし、こんなの意味ないって言った方が楽なんですよね。自分に引き出す能力がないから、話してもらえる関係性が出来ていないことにしておいた方が楽なんです。でも、日頃の関係性を作ることができるか不安でもあるんですよね。」
そのまま静かに待ちます。温かな静かな沈黙が流れます。
「テクニックじゃないんですよね。自分から相手のことを知りたいと思わなくては始まらないですよね。
話なんてしなくても相手のことを分かっているように見せかけていました。
それがわかるから相手は話したくないんですよね。
1on1で済まそうとするのではなく、日頃の関係性を築くことが大切なんですよね…。」
「これからは少し周りの部下の様子をよく見てみます。なんか話していてスッキリしました。
坪崎コーチが以前に話していた沈黙が金ってなんかわかった気がします。」
笑顔でセッションが終わりました。
先日、1on1ミーティングをする側の研修のご依頼をいただきました。
その中で『一言も話さず、質問もせず相手の話をしっかりと聴く』というワークをしました。
皆さん途中で話すことがなくなり沈黙になります。
聴き手は優しく温かい気持ちで待ちます。
数分後、話し始めます。
その時の表情が柔らかく穏やかなんです。
最後の感想では、
「あの沈黙の後に出てきたことが1番話したかったことでした。」
「黙って聴いているので、話し手の内容が映像で浮かびました。」
などなど素晴らしい感想の数々を頂きました。
1on1の本質は相手のことを知ること、本人の力で課題を解決できる機会をつくること、
そこはテクニックやスキルではなく聴き手のあり方と日頃の関わりが大切なのです。